こんにちわ、ウイスキー研究家YUKI(@whisky_ex_yuki)です。
前回に引き続き、蒸留所の紹介とウイスキーレビューを記事にしました。
今回は第2弾として強烈なスモーキーなウイスキーを造る「アードベッグ蒸留所」を紹介します。
アードベッグ蒸留所について
アードベッグ蒸留所はアイラ島の南部にラフロイグ、ラガブーリンと並んで建っています。これら3つ蒸留所は、その土地の名称から「キルダルトン3兄弟」と呼ばれており、アイラ島の観光名所で有名なキルダルトン・ケルト十字架が近くにあります。アードベッグはゲール語で「小さな岬」を意味しており、名前の通り岬の傍でウイスキーを造っています。
アードベッグ蒸留所は1815年創業で1970年代まで地元の資本でウイスキーを造っていましたが、1973年に有名なカナディアンクラブを販売するハイラムウォーカー社に買収されました。この時に設備の近代化が図られ、1974年に伝統的なフロアモルティングを止めることになりました。その後も近代化が進められていましたが1980年代のウイスキー不況で経営が傾き、1981年に閉鎖されました。アライド社がハイラムウォーカー社を買収後、1990年から生産が再開されましたがアライド社の傘下にラフロイグが入ったことで、アードベッグでは年1、2カ月程しか生産が行われませんでした。
この状況を救ったのが、1997年のグレンモーレンジ社による買収でした。
生産が限定的で設備が廃れていくばかりでしたが、グレンモーレンジ社が資金を投入し、安定的な生産ができるレベルまで回復しました。現在はモエヘネシールイビトン社がグレンモーレンジ社を買収し、アードベッグ蒸留所のオーナー企業となっています。
特徴①:強烈なスモーキー
スモーキーが強いウイスキーと言えばキルダルトン3兄弟の”アードベッグ”、”ラガブーリン”、”ラフロイグ”ですが、その中でもアードベッグではフェノール値55pmの麦芽を使用しており、かなり強烈なスモーキーの香りと味わいです。ラフロイグが40ppm、ラガブーリンが34ppmなのでその差は歴然です。ただ、アードベッグは強烈なスモーキーという特徴がありますが、香りや味わいに果実のようなフルーティーさが感じられ、奥深さを感じるウイスキーです。
特徴②:ノンチルフィルター(無冷却ろ過)
熟成したウイスキー原酒は、低温になると溶解している香味成分の一部が析出し白濁するため、原酒を約0~5度まで冷却して濾過するのは一般的です。
しかし、アードベッグ蒸留所ではウイスキー本来の香り・味わいを堪能して欲しいという思いでノンチルフィルターでウイスキーを造っています。
ウイスキー造りのこだわり
上記の動画はアードベッグ蒸留所内の様子を撮影した動画なので参考に見て頂ければと思います。
アードベッグ蒸留所のウイスキー造りのこだわりは下記に簡単にまとめています。
①麦芽
麦芽は全てポートエレン製でフェノール値55-65ppmとかなりピートが強めです。アイラ島の中でも随一なヘビリーピーテッド麦芽を使用しています。
②仕込み(糖化・発酵)
糖化槽で麦芽5トンあたり2.3万Lの麦汁を抽出しています。オレゴンパイン製の発酵槽が6基あり、マウリ製ドライイーストで約64時間発酵させ、アルコール度数は8.6%程度のモロミを造っています。
③蒸留・熟成
ポットスチルはランタンヘッド型の初留釜、再留釜が1基ずつあります。樽貯蔵庫は海辺から数メートルの敷地に建っており、海の潮の香りを含む空気が充満しています。
また、アイラ島で唯一、再留釜に「精留器」が設置されています。ラインアームを通ってきたアルコール蒸気が銅製の精留器に進入することで、銅との接触時間が延長し、蒸気中に含まれる硫黄成分が銅と反応し、硫黄特有の臭い(ゴム臭など)を抑えることができます。これより、スモーキーながらも甘くフルーティーな味わいが生まれ、アードベッグの個性を創り上げています。精留器を採用している蒸留所として、グレングラント蒸留所やスキャパ蒸留所などがあります。
ウイスキーレビュー
アードベッグには様々な銘柄あるので、今後は銘柄レビューを随時更新していきます。
アードベッグ 10年
色:薄めのゴールド
香り:煙っぽい、ヨード香、薬品のような香りの後に穀物ような甘い香り
味:強烈なスモーキー、スパイシーでピリッとした味わい、仄かな甘み
余韻:スモーキーな余韻が続き、モルトの甘さが後味が残る
アイラモルトの中でも強烈なスモーキーが味わえるウイスキーです。ただ、スモーキーが強いながらも穀物ような甘い風味が味わえるので品良く感じると思います。アイラモルトの中でも人気が高いウイスキーなので飲んだことがない人は是非ともご賞味ください。
まとめ
アードベッグ蒸留所の特徴やウイスキーレビューは参考になりましたでしょうか。アードベッグは10年以外にもアン・オーやウーガダール、コリーヴレッカンなど様々な銘柄があるので、今後ウイスキーレビューを更新していこうと思います。