こんにちわ、ウイスキー研究家YUKI(@whisky_ex_yukiです。
前回に引き続き、蒸留所の紹介とウイスキーレビューを記事にしました。
今回は第5弾として絶妙なバランスの味わいのウイスキーを造る「ボウモア蒸留所」を紹介します。

ボウモア蒸留所について

ボウモア蒸留所はアイラ島の南部にある強烈なスモーキーウイスキーを造るキルダルトン3兄弟の蒸留所と北部のライトなウイスキーを造る蒸留所の中間にあり、その位置関係から「アイラの中庸な酒」と呼ばれています。ボウモアはゲール語で「大いなる岩礁」という意味で、実際に蒸留所の目の前には岩礁が広がっています。

特徴①:アイラ最古の蒸留所

ボウモア蒸留所は創業1779年でアイラ島で最も古い蒸留所です。スコッチ業界で見た時でもハイランドのグレンタレットが1775年創業なので次いで2番目に古い蒸留所です。もともとは地元の商人ディビッド・シンプソンが創業しましたが時代の変遷とともにオーナーが幾度と変わり、現在は7代目のビームサントリーがオーナーを務めています。

ボウモア蒸溜所No.1 Vaults(第一貯蔵庫)はスコッチウイスキー貯蔵庫として最古の歴史を誇っています。No.1 Vaultsは海に面しており、波打ち際の岩盤を削り取り整地した上に建造されています。貯蔵庫内の床は海面下に位置しており、深い熟成のために最適な湿潤さの中、仄かに漂う潮の香りが香味要素の役割を担っています。

特徴②:伝統的なフロアモルティング

前記事でラフロイグ蒸留所がフロアモルティングを行っていることを書きましたが、ボウモア蒸留所もフロアモルティングを行っており、一度に7トンの麦芽を仕込んでいます。キルン棟でピートで約15時間、熱風で45時間乾燥させ、フェノール値25-30ppmの麦芽を造っています。ボウモアのピートはポートエレンとは異なるピートでヨード臭が抑えられた香り豊かなピートを使用しています。

ウイスキー造りのこだわり

麦芽

自家製麦芽(フェノール値25ppm)25%シンプソンズ製麦芽(フェノール値25ppm)75%を混合して仕込みに使用しています。

糖化、発酵

糖化槽(ステンレス製)はセミロイターで8トンの麦芽から約4万Lの麦汁を抽出しています。オレゴンパイン製の発酵槽6基で、使用する酵母はマウリ製とケリー製のプレスイーストです。発酵時間はショート(約48時間)とロング(約90-100時間)の2種類があり、アルコール度数8-9%のモロミを造ります。

蒸留

ポットスチルは初留釜2基、再留釜2基あり、全てストレートヘッド型でネックが細いの特徴です。発酵槽1基で得られる4万Lのモロミを2等分して、初留釜で蒸留を行います。ボウモアはキルダルトン3兄弟とは異なりスモーキーさよりフルーティーさを重要視しているのでミドルカットは早いタイミングで行っています。

ウイスキーレビュー

ボウモア 12年

:琥珀色
香り:スモーキー、爽やかな柑橘系、ウッディー
:スモーキーで蜂蜜様の甘さ、潮味
余韻:スモーキーながらも後味は爽やかさを感じる

総評
ボウモアはアイラモルトの中でもスモーキーな香りと芳醇な味わいが絶妙なバランスのウイスキーです。どうしてもスモーキーさが目立ちやすいですがフルーティーさも感じられるように造っているのは本当に素晴らしいです。アイラモルトのスモーキーさが強すぎるという方や初めてアイラモルトを飲むという方にはおすすめです。

まとめ

ボウモア蒸留所の特徴やウイスキーレビューは参考になりましたでしょうか。ボウモアは「ブラックボウモア」など伝説的なボトルもリリースしており、本当に素晴らしい銘柄が多いです。今後も他の銘柄などもウイスキーレビューしていこうと思います。