こんにちわ、ウイスキー研究家YUKI(@whisky_ex_yukiです。
前回に引き続き、蒸留所の紹介とウイスキーレビューを記事にしました。
今回は第6弾として数々の革命的な挑戦を行ってきた「ブルイックラディ蒸留所」を紹介します。

ブルイックラディ蒸留所について

ブルイックラディ蒸留所はアイラ島の西部にあり、ボウモア蒸留所の対岸に位置しています。ブルイックラディはゲール語で「海辺の丘の斜面」という意味です。ブルイックラディ蒸留所は1881年創業で歴史ある蒸留所ですが、アイラ島に個性豊かなキルダルトン3兄弟やボウモア蒸留所の存在、そして1980年代からのウイスキー不況により1994年に閉鎖に追い込まれました。しかし、この窮地を救ったのがボトラーズのマーレイ・マクダビッド社のマーク・レイニエー氏元ボウモア蒸留所のマネジャーであったジム・マッキューワン氏で、ウイスキーにテロワールという概念の導入やピート仕様の異なる3ブランドの展開など革命的な挑戦を行い、ブルイックラディ蒸留所を見事に復活させました。現在、マーク・レイニエー氏はアイルランドのウォーターフォード蒸留所でテロワールを導入したウイスキー造りを、ジム・マッキューワン氏は2017年に創業したアイラ島9番目のアードナホ―蒸留所で製造コンサルタントを務めています。

特徴①:初めてスコッチにテロワールという概念を導入

テロワールとは、生育地の地理や地勢、気候による特徴を指すフランス語の言葉です。 つまし、同じ地域の農地は土壌、気候、地形、農業技術が共通するため、作物にその土地特有の性格を与えるという概念で一般的にワインなどに用いられています。このテロワールという概念をウイスキーに初めて取り入れたのがブルイックラディ蒸留所で原料の大麦は徹底的にこだわっています。スコットランドの契約農家から大麦を仕入れていますが、それらの大麦を一切混ぜることなく、農家ごとに、さらには品種ごとに仕込んでいる徹底ぶりです。

特徴②:麦芽のピート仕様の異なる3つのブランド

ブルイックラディ蒸留所は麦芽のピート仕様や仕込み方法を変えて、3つのブランドのウイスキーを造っています。具体的にはノンピートの「ブルイックラディ」、ヘビーピーテッド(40ppm)の「ポートシャーロット」、ウルトラヘビーピーテッド(80-300ppm)の「オクトモア」をリリースしています。また、各ブランドのボトルデザインはウイスキーのボトルには見えないお洒落なデザインで革命児的な存在感がたまりません。

ウイスキー造りのこだわり

麦芽

スコットランドの26の契約農家から大麦を仕入れており、そのうち14農家がアイラ島の農家です。また、2023年稼働予定ではありますがフロアモルティング製麦棟が建設され、100%アイラ産のテロワールを実現できるようです。

糖化、発酵

ブルイックラディ蒸留所では13タイプのウイスキーを造っており、仕込みはそれぞれで異なり複雑ですが基本的に一回の仕込みに7トン麦芽を使用します。糖化槽はオープン式で麦汁3.5万Lを搾り取り、オレゴンパイン製の発酵槽(計6基)で72-110時間発酵させます。

蒸留

ポットスチルはストレートヘッド型で細身タイプです。出来上がったニューメイクを加水して樽詰めするのが一般的ですが、ブルイックラディ蒸留所では加水せずに樽詰めしています。

ウイスキーレビュー

ブルックラディ ザ・クラシック・ラディ

:薄い黄金色
香り:アルコール、はちみつ様
:アルコール感、リンゴのような甘味
余韻:アルコール感からくる辛みが残るが切れ味良し

総評
少しアルコール感が強いですがノンピートなのでスモーキーが苦手な方にはおすすめのウイスキーです。アイラモルト好きな方には少し物足りないかなと思いますが、テロワールを取り入れたスコットランド産100%ウイスキーでエレガントな仕上がりになっているので一度ご賞味頂きたい銘柄です。

ポートシャーロット スコティッシュ・バーレイ

:黄金色
香り:スモーキー、イチジク、洋ナシ
:スモーキー、モルティーな甘み
余韻:ピートスモークながらも柑橘系の爽やかさ

総評
アイラらしいスモーキー感と大麦由来の仄かな甘さが絶妙なバランスで個人的にはかなりおすすめしたいウイスキーです。現在は『ポートシャーロット スコティッシュ・バーレイ』は生産中止となり、『ポートシャーロット 10年』が後継品となっており、香り味わいともに引き継がれています。アイラモルト好きな方には必ず満足して頂ける銘柄だと思います。

オクトモア09.1 スコティッシュ・バーレイ

:黄金色
香り:刺激的なスモーキー、焚火様、ビターチョコ
:強烈なスモーキー、ナッツ
余韻:長いスモーキー感、わずかに蜂蜜様の甘さを感じる

総評
良くも悪くもかなりインパクトが残るウイスキーだと思います(笑)。僕の感想は美味いではなく面白いでした(笑)。口の中からスモーキーが溢れるような感覚があり、個人的には人生で一度は体験してもらいたいかなと。ただ、値段がそれなりにするのでBARなどで飲まれるのがおすすめかなと思います。

まとめ

ブルックラディ蒸留所の特徴やウイスキーレビューは参考になりましたでしょうか。ブルイックラディ蒸留所は3つのブランドで銘柄も豊富にあるので他の銘柄なども今後ウイスキーレビューしていこうと思います。