こんにちわ、ウイスキー研究家YUKI(@whisky_ex_yuki)です。
私は24歳の時にウイスキーにハマってから、スコッチやバーボン、ジャパニーズ等のあらゆる銘柄を飲み漁り、毎日ウイスキーのことを考えながら生活をしています。おそらく病気です(笑)。ウイスキー全般好きなのですが、その中でもピートの効いたスモーキーな『アイラウイスキー』が大好きで、自宅には常時ボトルをキープして晩酌を楽しんでいます。
最近ですが、ウイスキー研究家として活動していることもあり、ファンの方から「アイラウイスキーのおすすめ銘柄は何ですか?」という質問を頻繁に受けます。
そこで今回は、現在稼働しているアイラ島の全蒸留所10銘柄を評価し、僕の独断と偏見で決定したおすすめランキングをご紹介します。
ウイスキーの聖地 ”アイラ島”
アイラ島は ”ウイスキーの聖地” として、世界中のモルトウイスキーファンを惹きつけており、年間10万人近い人々が訪れる島です。まずは、アイラ島を知らない方のために簡単に解説していきます。
アイラ島の場所は?
イギリス北部に位置するスコットランドは、グレートブリテン島北部の約1/3、西岸部に大小様々な島々が連なっているベブリディーズ諸島、オークニー諸島、シェットランド諸島などで構成されています。
その中でベブリディーズ諸島の最南端にあるのが ”アイラ島”です。
アイラ島は南北約40㎞、東西約32㎞、面積約637㎢で、日本の淡路島(約592㎢)より一回りほど大きい程度ですが、人口は約3,400人と極端に少ないです。
ウイスキー造りが盛んな理由
近年世界的なアイラモルトブームが起きており、現在アイラ島では、『ブナハーブン蒸留所』、『カリラ蒸留所』、『アードベッグ蒸留所』、『ラガブーリン蒸留所』、『ラフロイグ蒸留所』、『ボウモア蒸留所』、『ブルイックラディ蒸留所』、『キルホーマン蒸留所』の8つの蒸留所が稼働しています。
淡路島程度の面積の島で8つの蒸留所がウイスキー造りをしていることを考えると、アイラ島が ”スコッチの聖地” と称されることも納得ですよね。
これほど、アイラ島でウイスキー造りが盛んになった理由には、次の3つの要素が関係しています。
理由①:温暖な気候
アイラ島を含むベブリディーズ諸島は、イギリスの西側を流れるメキシコ湾流と偏西風の影響を受けるため、比較的気候が温暖(夏:15℃程度、冬:4℃程度)で湿度が高い環境であることから、ウイスキーの原料である大麦の生育に適しています。
アイラ島にある『ブルイックラディ蒸留所』や『キルホーマン蒸留所』では、アイラ産大麦100%の銘柄シリーズをリリースしています。
理由②:良質な水
ウイスキーの原料は大麦麦芽などの「穀物」、「水」、「酵母」のみです。その中でも各製造工程で使用する「水」は特に重要で、ウイスキー造りにおいては、水は ”命” とも言われています。
水に含まれるミネラル分や硬度の違いにより仕上がる原酒の酒質は異なり、各製造工程でも大量の仕込水を使用するため、蒸留所を建設する際には水質が良く豊富な水源がある場所を基準に場所を決定することが多いそうです。
アイラ島には川や湖などの水質の良い豊富な水源があるので、ウイスキー造りに適した環境です。ちなみに、アイラの中でも有名な『アードベッグ蒸留所』は、ウーガダール湖とアリナム・ビースト湖から仕込水を引いています。
理由③:豊富なピート
ピートとは、シダやコケ類、草、低木などが堆積してできた可燃性の泥炭(炭化があまり進んでいない石炭)です。
大麦麦芽を乾燥させる際にピートで燻すことで独特なスモーキーな香りが麦芽に移り、アイラ特有のスモーキーな味わい深いウイスキーを造ることが出来ます。
アイラ島の4分の1はピート湿原に覆われているため、スコットランドの中でもピート麦芽を造りやすい環境であったので、個性的なウイスキーを造る上では最高の土地だったと言えます。
※スモーキー(ピート)フレーバーの強弱は ”フェノール値(ppm)” で表現され、フェノール値が高いほどスモーキー感が強くなります。10ppm程度であれば仄かにスモーキー感が感じられる程度ですが、25ppm程度になるとスモーキー感が主張し始め、50ppm以上になるとスモーキー感を強烈に感じる程になります。
アイラウイスキー10銘柄 おすすめランキング
それでは本題ですが、国内で一般的に購入できるアイラウイスキー10銘柄を飲み比べした結果、私がおすすめしたいアイラウイスキーをランキング形式で紹介していきます。
10位:ブナハーブン 12年
アイラ特有のスモーキー感が抑えられた飲みやすいウイスキー!
アイラウイスキーと言えばスモーキー感をイメージすると思いますが、”ブナハーブン 12年” はスモーキーフレーバーが抑えられた落ち着いた印象のウイスキーです。
味わいがフレッシュで甘く優しい口当たりなので、初心者でも飲みやすい仕上がりになっています。また、非冷却ろ過法を採用しているため、アルコール度数が46%と若干高く、色調整を行っていないナチュラルカラーであり、あるがままのウイスキーなところが好きですね。
ただ、アイラらしさであるスモーキーな味わいが感じられないという点で10位という位置づけになっています。
9位:ブルイックラディ ザ・クラシックラディ
斬新なボトルデザイン!ノンピートでウイスキー初心者におすすめなウイスキー!
“ブルイックラディ ザ・クラシックラディ” もノンピート麦芽で造ったウイスキーで、リンゴのようなフルーティーな味わいとはちみつのような香りが特徴なのでウイスキー初心者やスモーキー感が苦手な方におすすめです。
ワインと同じように原料によって風味に違いが出るという ”テロワール” という考え方をウイスキーに初めて導入したのが『ブルイックラディ蒸留所』で、スコットランド産の大麦100%を使用する等のこだわりを持っています。また、ボトルデザインが斬新で初見の方からするとウイスキーのボトルとは想像もつかないと思います。将来、私もこのような斬新なデザインのボトルでウイスキーをボトリングしたいですね。
『ブルイックラディ蒸留所』は個人的にリスペクトしている蒸留所の1つですが、こちらもアイラらしさがない点から9位という結果にしました。
8位:オクトモア09.1 スコティッシュ・バーレイ
スモーキー爆弾(笑)!ピート好きなら一度は飲んでもらいたいウイスキー!
『ブルイックラディ蒸留所』がシリーズ違いでリリースしているオクトモアは、世界で最もヘビリーピーテッドなシングルモルトウイスキー(フェノール値:156ppm)で、口に含んだ瞬間にスモーキー感が爆発し、口や鼻からスモーキーが溢れでてくるようなウイスキーです。アイラウイスキー好きなら一度は飲んでみたいと思うウイスキーではないでしょうか?
ウイスキーは長期熟成した原酒ほど品質が高いと評価されがちですが、『ブルイックラディ蒸留所』のヘッドディスティラーは5年熟成の品質に誇りを持っており、早熟ながらも確固たる地位を築く銘柄をリリースしているところはさすがの一言です。
アイラのピート感をふんだんに味わいたいなら ”オクトモア09.1 スコティッシュ・バーレイ” をおすすめしますが、本当にスモーキーが強すぎるのでウイスキーとしての全体のバランスが悪いのと価格が1万円以上することを考慮して、8位という結果にしました。
7位:キルホーマン マキヤーベイ
スモーキー感とフルーティーな味わいのバランスが絶妙なウイスキー!
2005年にアイラ島に124年ぶりに新しく建設された蒸留所で造られるアイラらしいスモーキーさと多種の果実アロマを感じるウイスキー(フェノール値:50ppm)です。
新規蒸留所ということもあり、3年から5年熟成の若い原酒を使用していますが、非常にバランスが取れた味わいで素晴らしいウイスキー造りを行っているな感じる蒸留所です。また、大麦の栽培からボトリングまでを全てアイラ島で行っており、そのこだわりはアイラ島の中でも秀でていると思います。
ただ、小規模な蒸留所であり生産量が少ないのでやや価格が高いので7位にしました。
6位:ボウモア 12年
ピートのクセや香りの強さがほど良いウイスキー!
アイラ島にある蒸留所の中でも中間ぐらいのピート感を味わえるウイスキー(フェノール値:18-25ppm)です。スモーキーなアイラウイスキーを一度飲んでみたいと思っている方に一番初めに勧めたい銘柄かなと思います。
口当たりが非常に滑らかでスモーキーな香りとはちみつやビターチョコレートのような甘い香りが感じられ、全体の調和が取れて洗練されたウイスキーとして人気があります。
アイラウイスキー初心者におすすめするなら ”ボウモア 12年” ですが、個人的にはピート感をもう少し強く感じるウイスキーが好みなので6位という結果としました。
5位:カリラ 12年
アイラらしいスモーキー感が特徴の辛口なウイスキー!
アイラ島の中で最も生産量が多く、スモーキー感の強さとピリッとした塩味が心地良く感じるウイスキー(フェノール値:35ppm)です。値段は比較的安いのも人気の理由で、自宅で晩酌用として飲まれる方も多いです。私も常時ボトルを置いており、 ”カリラ 12年” を晩酌で楽しんでいます。
スモーキー感と塩味、そしてほんのりとした甘みが後味残る大好きなウイスキーではありますが、 ”カリラ 12年” 以上に好みのアイラウイスキーがあるので残念ながら5位という結果になってしまいました。本当に美味しいですけどね苦笑。
4位:ラフロイグ 10年
イギリス王室チャールズ皇太子がお気に入りのアイラウイスキー!
フェノール値40ppmでスモーキー感が強く、磯の香りを想起させるような個性的な味わいであり、チャールズ皇太子ご用達のウイスキーです。
ラフロイグ蒸留所所長が言い放った『No half measure!(中途半端な道は選ばない。好きか嫌いかのどちらか。)』という言葉の通り、好みが極端に分かれるウイスキーだと思います。私は一度飲んでからラフロイグの虜になりましたが、嫌いな人は嫌いとはっきり分かる味わいになっています。
アイラウイスキーにハマったら是非とも飲んでもらいたいウイスキーになりますが、上位3位が強すぎて4位という結果になりました。
3位:ポートシャーロット スコティッシュ・バーレイ
スモーキーながらも華やかな香りが感じられるスコットランド産大麦100%のウイスキー!
『ブルイックラディ蒸留所』がリリースする3つ目の銘柄シリーズで、テロワールの考えを基にスコットランド産大麦100%を使用したスモーキーかつ華やかな香りが特徴のウイスキー(フェノール値:40ppm)です。
現在人気が出てきているシリーズでもあり、スモーキーな香りといちじくや洋ナシのような甘い香りが絶妙に調和され、その余韻が長く楽しめることから最近私もどっぷりハマっちゃってます(笑)。
『ブルイックラディ蒸留所』の理念と個性豊かなウイスキーに敬意を表して、3位という結果にさせて頂きました。
2位:アードベッグ 10年
ガツンとしたスモーキー感とモルティーな甘みを兼ね備えたウイスキー!
強烈なスモーキーな香りと麦芽由来の繊細な甘味が見事に調和された辛口のウイスキー(フェノール値:55ppm)です。
”オクトモア” シリーズを除いてアイラウイスキーの中では最もフェノール値が高く、口の中でガツンとスモーキー感が主張してきますが、意外なほどにフルーティーで爽やかな余韻を楽しめます。また、その他のアードベッグシリーズも評価が高く、”ウーガダール”、”コリーヴレッカン”、”アン・オー” といった各銘柄もアードベッグファンを唸らしています。
ウイスキー上級者にも人気な銘柄で私も好んでBarで良く飲むウイスキーなので、2位という結果にさせて頂きました。
1位:ラガブーリン 16年
スモーキー感が強いながらも上品な味わいと心地よい余韻が残るウイスキー!
アイラ特有のスモーキーさが感じながらも麦芽とシェリーが芳醇に口の中に広がり、上品かつ心地よい余韻を堪能できるウイスキー(フェノール値:34ppm)です。
香り、味わい、余韻全てがバランスが良く、アイラらしさと上品さを絶妙に表現した素晴らしい銘柄だと思います。また、私が初めてアイラウイスキーを飲んだのが ”ラガブーリン 16年” ということもあり、非常に思い出深い銘柄でもあります。”ラガブーリン 16年” を飲んだ時の衝撃は今でも忘れられず、当時から自宅には必ず常備していますね。
主観がかなり入っていると思いますが、ウイスキーとしての仕上がりは、他のアイラウイスキー銘柄に比べて群を抜いていると思っているので、文句無しの1位とさせて頂きました。
まとめ
アイラウイスキー10銘柄のおすすめランキングはどうでしたでしょうか?
今回はランキング形式で紹介しましたが、紹介したウイスキー銘柄は全て個性豊かで美味しいウイスキーです。ただ、アイラウイスキーはかなり好みが分かれると思うので、気になる銘柄があればBARなどで一度飲んでみてから購入することをおすすめします。
今後は蒸留所や銘柄シリーズについても記事にしていこうと思うので楽しみにお待ち下さい。